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2025.9.30
南紀白浜 全室スイート・オールインクルーシブ「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」で贅沢時間を
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日本に居ながら、海外のビーチリゾートにいるような時間が楽しめるのが、南紀白浜にある贅を尽くした隠れ家的なホテル「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA(ファイブ スプリング リゾート ザ・シラハマ)」である。
東京・羽田空港から南紀白浜空港まで約1時間、大阪からは車で約2時間半、南紀白浜の数多いリゾートホテルの中でもひと際目を惹く佇まい。ホテルに足を踏み入れれば、喧騒とは無縁の時間が流れ、究極のプライベート空間が広がっている。
2025年9月、世界的なホテルブランドグループ「スモール・ラグジュアリー・ホテルズ・オブ・ザ・ワールド(SLH)」に日本で19番目のホテルとして迎えられた。世界に比類のない小規模のラグジュアリーホテルの1つであり、特別な滞在を約束されたホテルであることの証である。
目の前には海岸が広がっている。
わずか18室のプライベートステイで心が解き放たれる滞在を
当ホテルがなぜ贅沢なのか。
わずか18室の客室は、違うタイプの客室が3棟に分かれ並んでいる。
それぞれの棟は“星座”の名前がついており、もっとも広いプレミアスイートオーシャンビューは「GREAT BEAR(おおぐま座)」という名がついている。
テラスを含んで145㎡の広さがあり、ベッドを4台備えた部屋であれば、小さな子どもの添い寝であれば3世代での滞在も可能だろう。
また部屋によってはサウナやジャグジーを備えているので、誰の目を気にすることなく、自分の時間を謳歌することができる。
「GREAT BEAR(おおぐま座)」客室。
120㎡の広さのジュニアスイートデラックスが「GIRAFFE(きりん座)」。テラスへ飛び出す形の半露天風呂が備えついており、公式ホームページからキッズフレンドリープランを選んで予約すれば、室内に子ども用の遊び場スペースを設置し、バスルームには子ども用グッズなどを用意されているので、荷物が多くなりがちな子ども連れの旅でも身軽に移動できるのは嬉しい。
「GIRAFFE(きりん座)」の客室。
キッズフレンドリープランを選ぶと、客室に子ども用に遊び場が備えられている。
洗面所に用意されている、子ども用にグッズの数々。
プールガーデンデラックス「DRAGON(りゅう座)」は、まるで高級ビーチリゾートホテルのように、部屋のテラスからプールへ飛び込める。水着のままプールに飛び込み、部屋のテラスでくつろいでから、またプールへ。
海外の高級ビーチリゾートにいるような滞在が、日本でできるなど驚きの連続。
「DRAGON(りゅう座)」の客室。
テラスから直接プールへ。
また、全室には電解水素水が備えられており、専用ボトルに入れて、いつでも健康や美に効果的と言われる水素水をいただくことができる。
部屋の冷蔵庫内の飲料ももちろんすべてフリー。足りなくなれば追加でオーダーすることもできる。
南紀白浜温泉の「湯」に包まれて。ホテル内から湧き出る源泉掛け流しの純泉体験
南紀白浜温泉は、有馬温泉と道後温泉に並び、「日本三古泉」の一つに数えられ、日本書紀や万葉集にも登場する温泉である。古くから天皇をはじめ皇族が湯治に訪れたと言われる由緒ある場所である。
敷地内にある自家源泉。
大浴場には露天風呂も備えられている。浴室にはランドリーがあるほか、湯冷めのアイスキャンディーも。
当ホテルの建設は、まずは温泉を掘り当てることからはじまったと聞く。温泉の掘削が成功しなければホテル建設は断念したというほど、温泉の存在は必須だった。無事に掘り当てた源泉は「純泉」と名付けられ、敷地内地下1,000メートルから汲み上げる自家源泉が施設中央にある。温泉の中でも珍しい深層自然温泉が24時間湧き出ている。なんとも贅沢なことだ。
部屋のお風呂でゆったりも嬉しいが、やはり大浴場の存在は温泉地では欠かせない。露天と内湯を兼ね備えた大浴場「五光の湯」は、海風に吹かれながら空を見上げ、心の芯まで解きほぐされていくような感覚を味わえる空間だ。
さらに、宿泊者だけが利用できるプールは、冬は温泉プールになるために年間を通じて利用することができる。
朝は鳥のさえずりとともに、また夜は星空を仰ぎながら、プールに身を委ねる体験は南国のリゾートそのものだ。
2025年には木樽型の「バレルサウナ」がプールサイドに新設され、ウェルネスリゾートとしての魅力がさらに進化した。プールで冷えた身体を温め、汗を流してからまたプールへ飛び込む。これは海外リゾートでは味わえない贅沢ではないだろうか。
“泊まる”を超える、人生に残る滞在体験
滞在スタイルはオールインクルーシブ。
食事はもちろん、アルコールを含むドリンク、温泉施設の利用、バーでのカクテルタイムまで、すべてが宿泊費に含まれている。だからこそ、ゲストは時計やお財布のことを忘れ、“本当の意味で自由”な時間を手にすることができる。
ゲストは自由に利用できるバースペース。日本酒やワイン、ビールなどのアルコールから、ノンアルコールドリンクやスナックなどが置いてある。
最後にご紹介するのは南紀の豊かな食材をたらふくいただける食事である。
レストラン棟は仕切りあるスペースと個室があり、まわりを気にすることなく自分たちのペースで食事がいただける。夕食はコース料理になっており、紀州の海と山の恵みを取り入れた会席料理を楽しめる。素材のすべてが選び抜かれた逸品ばかり。料理長が一皿ずつに心を込めた“地産地消の芸術”は、まさに舌の記憶に残る味わいだ。
驚くほど柔らかい、熊野牛の陶板焼き。
新鮮な海の幸はお刺身で。
食事を終え、夜のとばりにプールサイドでくつろいでいると、広大な敷地に映し出されるレーザーマッピングショーがはじまる。
静寂な中、幻想的な光の舞台に目が奪われる。
時折映し出されるメッセージは、チェックイン時に預けたメッセージである。滞在中に、大切な人へ思いを伝える、そんな演出もできそうである。
夜はレーザーマッピングショーがはじまり。宿泊客のメッセージが投影される。
朝食は、レストラン棟で豪華なビュッフェが待っている。
熊野牛や伊勢エビ、鮑、サザエのほか、新鮮な地元野菜が並び、好きなものを網焼きにしていただく。網の上で鮑が躍る姿はなかなか見ることができない、まさに贅沢な食事である。さらには美しいお刺身も並んでいる。朝から遭遇する非日常の風景に来てよかった!という言葉が思わず漏れてしまうはずだ。
高級食材が並ぶ朝食。
「FIVE SPRING RESORT THE SHIRAHAMA」での滞在は、まさに夢のような時間であった。
「何もしない」ことを、心から楽しむ、都会では忘れている何かをここでは見つけることができるはずだ。
いつかまたここに戻ってきたい、そう心から思えるホテルだ。
Text by Yuko Taniguchi
和歌山県西牟婁郡白浜町300-2
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日本のプレミアムなホテル
Events
【10/17(金)〜11/3(月・祝) 東京都・銀座】
2025.10.4
茶道・アート・美食が街を彩る銀座の秋まつり「オータムギンザ2025」
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茶道からアート、音楽、グルメ、ナイトカルチャーまで、銀座の街に多彩なハーモニーを奏でる秋恒例のイベント 「オータムギンザ2025」 が今年も開催。2025年10月17日(金)から11月3日(月・祝)までの18日間にわたり開催される。
23回目を迎える今年のコンセプトは「奏(そう)」。街を歩く人々の心を弾ませ、銀座が一体となってハーモニーを描き出す。
10月26日(日)に開催されるのが、銀座の通りがの野点へと変わる人気企画 「銀茶会」。銀座通り周辺の12カ所で、茶道六流派と煎茶道による茶席や「茶道はじめて体験」を実施。こちらは事前申し込み抽選制となり、10月8日(水)まで申し込みを受け付け。10月15日(水)に抽選発表される。
また、銀座の銘店が趣向を凝らし、この日限定で登場するオリジナル和菓子も見逃せない。松屋銀座と銀座三越では、オリジナル菓子の一部(6個入り 2,700円)がセット販売される。
※写真は2024年の最優秀作品
10月23日(木)から27日(月)までの期間、銀座三越9階銀座テラスには、建築を学ぶ学生がデザインした茶室の最優秀作品を原寸大で設置。実際に茶席として使用される予定だ。
60年近くの歴史を持ち、銀座の街を華やかに彩る「秋の銀座 交通安全ゴールデンパレード」は10月19日(日)に開催。警視庁の交通安全パレードと、東京都吹奏楽連盟による迫力あるパフォーマンスを楽しめる。今年は東京国際映画祭が同時期に開催されることから、映画音楽もレパートリーに加わるという。
田中孝明「essence」/emmy art +(左) 髙田安規子・政子「Spectrum」/資生堂ギャラリー(右上) 鎌田克慈・鎌田奈緒美「UNERI red」 / KOGEI Art Gallery 銀座の金沢(右下)
このほか、銀座に息づく小さな神社やお地蔵さまを参拝する「銀座八丁神社めぐり」や、銀座を代表する和・洋・中の名店41店舗の特別コースが味わえる「ダイナースクラブ 銀座レストランウィーク 2025 Autumn」、銀座のバー17店舗が、期間限定でジントニックを1杯1,650円(各店1杯のみ)で提供する特別企画「オータム・ギンザ・ナイト」、銀座の画廊をガイドが案内する 「アフタヌーン・ギャラリーズ」なども開催。
ひんやりとした空気が心地よいこれからの季節、秋の銀座でそぞろ歩きを楽しんでみてはいかがだろうか。
銀座の秋まつり「オータムギンザ2025」
【期間】2025年10月17日(金)~11月3日(月・祝)
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「スヌーピーは、今日も語る。 – PEANUTS 75th Anniv. -」
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永遠の聖地、伊勢神宮を巡る
2025.10.2
伊勢神宮 年間1500回行われるおまつりの意味とは?
神宮の修祓の様子。黒田清子祭主も奉仕。おまつりに先立ち、奉仕する大宮司以下、神職たちとともに、お祓いを受ける。
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稲が稔りのときを迎える秋は、全国でもおまつりが多い季節。特に農村地帯では、年に1度の大々的なおまつりである例祭がこの季節に行われる神社も多く、おまつりを通して、鎮守の神様である御祭神に、収穫への感謝の祈りが捧げられる。
ここ伊勢の神宮でも、令和7年(2025)9月2日に抜穂祭(ぬいぼさい)が行われた。毎年9月初旬に神宮神田で行われる抜穂祭は、神宮のおまつりでお供えする御料米の初穂を収穫するおまつり。以後の約1ヶ月間、稲穂の刈り取りが行なわれ、10月に行われる神嘗祭(かんなめさい)で、はじめて天照大御神などの神々に奉り、豊かな稔りへの感謝の祈りが捧げられる。
神宮では、多くのおまつりが行われている。その数は、なんと年間約1500回を数えるという。驚きである。
さらに、今年の令和7年(2025)から、令和15年(2033)に行われる式年遷宮に向けてのおまつりも加わり、9月17日と19日には、内宮(17日)、外宮(19日)それぞれで「御船代祭(みふねしろさい)」が行われた。
今回は、各地でおまつりが多い季節を迎えるにあたり、知っているようで、実はあいまいな点も多いおまつりに焦点を当ててみよう。
おまつりとは、神様へのお礼と感謝の意味を持つ
おまつりと聞いて、まず思い浮かぶのは?
お神輿(みこし)や山車(だし)、それとも、笛や太鼓の囃子の音や踊りだろうか?いずれにしても、おまつりに対してにぎやかなイメージを抱いている人は少なくないだろう。
だが、本来おまつりの中心は祭祀(祭典、祭儀などとも言う)。にぎやかさとは無縁に、神様に向かい、粛々と行われている。
そもそもおまつりは、神様に恵みを感謝して、その神様を一定の場にお迎えし、真心を込めてたてまつり、もてなすこと。おまつりの語源である「まつる」は、神様に「奉(たてまつ)る」に由来するという説がある。
もっとも、現在は、神様に奉仕する儀礼のみを指すようになり、たとえば神様に御饌(みけ=お食事)や御酒(みき)、御幣(みてぐら)などのお供えものを献上する「たてまつる」、さらに、神様を称え、感謝を捧げて祈りや願いなどを「告げまつる」意味もあるという。
伊勢神宮のおまつりに奉仕する神職たちは、前日、もしくは前々日から斎館に籠って心身を清め、当日は、斎館からまず修祓を行うため祓所(はらえど)に向かう。広大な神域を、歩調を合わせて進む姿も、神宮のおまつりならではの風景。
抜穂祭では、作丁(さくてい)と呼ばれる奉仕員が稲を刈り、その稲から穂を抜いて神前に奉る。
一般に、神社や町のおまつりを行う目的はさまざまだ。たとえば五穀豊穣を祈るなど、願望の成就を求めたり、収穫の季節は、豊かな恵みに対するお礼や感謝を捧げることに重点が置かれる。さらに、御祭神の鎮座に関わる日に、神様の働きや行いを称えるおまつりもある。
神社や町のおまつりには、所作や作法などの形式が存在している
お社の成り立ちや土地ごとの風土、そして、季節や目的によって、一見さまざまに異なるように思える神社のおまつり。だが、その中心である一連の祭祀には、ある一定の形式があり、それに沿って進められている。
祭祀でまず行われるのは、修祓(しゅはつ)と呼ばれるお祓い。大麻(おおぬさ)や御塩の祓い具で、おまつりに奉仕する神職や参列者を清めた後、神様に御饌、つまり神饌(しんせん)を供える。そして、祝詞を奏上して感謝を述べ、祭祀の目的をお伝えし、場合によっては、神楽といった歌舞音曲(かぶおんぎょく)を奉納。神様をおもてなしし、神饌をお下げするという流れになっている。
修祓では、お供えする神饌と奉仕員を祓い清める。
9月に開催されたのは式年遷宮へ向けたおまつりの1つ、「御船代祭(みふなしろさい)」
年間約1500回にも及ぶ神宮のおまつりが、いずれも落ち着いた静寂の中で、厳かに粛々と進められるのは、おまつりが、修祓、参進、献饌、祝詞奏上、奉楽、撤饌(てっせん)、退下(たいげ)と、一連の形式どおりに行われているから。
今年の令和7年(2025)から始まった式年遷宮へ向けたおまつりも、すべて厳かに行われている。9月17日と19日の「御船代祭(みふなしろさい)」も、また然り。
令和7年9月17日に内宮で行われた御船代祭(みふなしろさい)の様子。物忌(ものいみ)と呼ばれる童男が、忌鍬(ゆくわ=清浄な鍬)を捧げ持ち、草木を刈り初める式を行う。祝詞の奏上では、立派な御船代の奉製が祈られた。
御船代とは、新しく造られる御正殿で御神体をお納めする「御樋代(みひしろ)」を、さらにお納めする御器(みうつわ)のこと。今年の6月に伐り出された「御樋代」に続き、今回は御船代の御用材を伐り出すにあたり、「御杣山(みそまやま)の木の本に坐す大神」などに祈る祭祀が行われた。
その一方、毎年決められた日時に行われる、いわゆる「祭典ならびに恒例式」も多い。
内宮の御船代祭(みふなしろさい)では、皇大神宮、荒祭宮に対してのおまつりの後、内宮の別宮すべてに対してのおまつりが行われる。祭場は風日祈宮橋(かざひのみのみやばし)近くの宮山祭場で、この日はツクツクボウシの鳴く声が響き渡っていた。なお、当日の同刻には、この内宮のおまつりに合わせて、木曽の御杣山で御船代木の伐木の儀が行われる。
年間に約730回も行われる、
神々に御饌を毎日奉る「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」
なかでも、毎日朝と夕の2度、外宮の御垣内(みかきうち)にある御饌殿(みけでん)で、内宮と外宮、それに別宮の神々にお食事を奉る「日別朝夕大御饌祭(ひごとあさゆうおおみけさい)」は、古式の祭祀のありようを今に伝えるおまつり。
まず前日、奉仕の神職は参籠し、当日早朝に神饌調理をしておまつりを準備する。その後修祓をし、神饌を供えて祝詞を奏上。皇室の安泰と国民の幸福を祈った後、拝礼を行い、御饌を下げる。古式の姿がうかがえる。
何より、このおまつりは、外宮のご鎮座以来、およそ1500年もの間、年間に約730回、1日も欠かさず続けられてきたという。
内宮の修祓の様子。内宮・外宮とも忌火屋殿(いみびやでん)と呼ばれる建物の前庭、祓所(はらえど)で修祓を行い、その後、参進して正宮へ向かう。
おまつりとは何か、そして、祈りとは何かという問いに対する1つの答えが、このおまつりには秘められているように個人的には思える。
おまつりのルーツ神話にあり。祈りとは己の姿の在り方にある?
だが、ここで1つの疑問も湧き起こる。そもそも、おまつりに効力はあるのだろうか。その答えのヒントは、実は神話に示唆されている。
おまつりのルーツを辿っていくと、「天の岩戸神話」に行き当たる。
天照大御神のお出ましを願い、神々が取った一連の行動、これが、おまつりの初見とされている。
『日本書紀』によれば、天照大御神が弟の素戔嗚尊(すさのおのみこと)の乱暴に立腹し、天石窟(あめのいわや)に入って岩戸を閉じ、中に籠ってしまわれたとき、天地は闇ばかりの世界になったという。
そこで、八百万の神々は会合を開いて相談し、その結果、太玉命(ふとだまのみこと)は、天香具山(あめのかぐやま)に生えている神聖な榊を根ごと掘り取って岩戸の前に立て、その枝に、八咫鏡(やたのかがみ)や八尺瓊(やさかに)の勾玉、さらに、青や白の和幣(にぎて=神に捧げる布を指し、青和幣は麻、白和幣は楮(こうぞ)で織られている)などをかけて装飾を施し、天児屋命(あめのこやねのみこと)は祈りを捧げた。つまり、祝詞を奏上した。さらに、天鈿女命(あめのうずめのみこと)は神楽を舞った。
修祓で用いられる大麻(おおぬさ)。白木の机に置かれた素焼きの土器には、紙を細かく切った「千切(せんぎり)」と、「散米(さんまい)」と呼ばれる米が入っている。ともに祓詞奏上の前後に左右左と祓い清め、奉る。
では、天照大御神は、神々の願いに対し、どのような行動を取られたのだろう。
神話では、外のにぎやかさを不思議に思い、天照大御神が岩戸を少し開けたところ、陰に隠れていた手力雄神(たじからおのかみ)が大御神の御手をお取りして、天石窟から引き出したと伝えている。
こうして、世界は光を取り戻した。つまり願いが叶ったのである。
「この神話で重要なのは、神々が祈られたことだと思います」
ある神職は言う。
「しかもその祈りは、叶えたい願いに向かって、それぞれができる役割を果たしたのです。その結果、天照大御神は岩戸からお出ましになり、光ある調和の世界を取り戻した。つまり願いが叶ったのです。
おまつりは、この神々の行為を再現することを基本としているのです」
おまつりは神話の再現で、願いの実現をもたらす。「天の岩戸神話」から、そんなメッセージを読み解くことができるのだ。
もっと言えば、願いを叶えるためには、それぞれが自分なりにできる役割を果たすことが必要だということだ。祈りとは、願いを叶えるために、自分なりに励む姿を神様にお見せする行為とも言えるだろう。
神宮のおまつりに触れられる、2月の「祈年祭」と11月の「新嘗祭」、そして「奉幣の儀」。
では、神宮のおまつりを、我々一般の参拝者が体感できる機会はあるだろうか?
神宮の「大祭」には、10月の「神嘗祭」と、6月、12月に行われる「月次祭(つきなみさい)」の、いわゆる「三節祭」と呼ばれる重要なおまつりがある。だが、「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)祭」と呼ばれる祭祀が行われるのは、いずれも夜間。参拝時間外である。
淡々と、そして粛々と進められる修祓。神職たちのたたずまい所作も美しい。
一方、2月に行われる「祈年祭(きねんさい)」と11月の「新嘗祭(にいなめさい)」(この2つのおまつりと「三節祭」を合わせて「五大祭」と呼ばれている)は、内宮、外宮ともに日中に行われ、外玉垣の垣根越しに中重の様子をうかがい見ることができる。加えて、天皇陛下の幣帛を奉る「奉幣の儀」(祈年祭、神嘗祭、新嘗祭は勅使の参向がある)も、「五大祭」ともに(「三節祭」は翌日)日中に行われる。
また、5月と10月の年に2度、古式のままに織り上げられた和妙(にぎたえ=絹)と荒妙(あらたえ=麻)を、御縫糸や御針などとともに天照大御神にお供えする神御衣祭(かんみそさい)も、日中に行われるおまつり。内宮の御正宮と別宮の荒祭宮(あらまつりのみや)のみではあるものの、祭祀の雰囲気を感じることができるだろう。
神御衣である和妙(絹)を織り始めるにあたって行われる神御衣奉織始祭(かんみそほうしょくはじめさい)の様子。内宮の所管社、神服織機殿(かんはとりはたどの)神社で行われ、織り上がると、皇大神宮と荒祭宮で神御衣祭が行われる。
もっとも、神宮に限らず、すべての神社にとって、祭祀はまつる者とまつられる神とが一体となる神聖な場。神の祝福は、神慮に叶う行為があって、はじめて期待することができるとされている。そのことを肝に銘じ、くれぐれも神聖な場を乱す行動だけは避けたいものである。
Text by Misa Horiuchi
伊勢神宮
皇大神宮(内宮)
三重県伊勢市宇治館町1
豊受大神宮(外宮)
三重県伊勢市豊川町279
文・堀内みさ
文筆家
クラシック音楽の取材でヨーロッパに行った際、日本についていろいろ質問され、<wbr />ほとんど答えられなかった体験が発端となり、日本の音楽、文化、祈りの姿などの取材を開始。<wbr />今年で16年目に突入。著書に『おとなの奈良 心を澄ます旅』『おとなの奈良 絶景を旅する』(ともに淡交社)『カムイの世界』(新潮社)など。
写真・堀内昭彦
写真家
現在、神宮を中心に日本の祈りをテーマに撮影。写真集「アイヌの祈り」(求龍堂)「ブラームス音楽の森へ」(世界文化社)等がある。バッハとエバンス、そして聖なる山をこよなく愛する写真家でもある。
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